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水の上の話しごと
数分後、お手洗いから縁種が帰ってきた。
「めんご〜!トイレの中が満員電車みたいに混んでた!」
「ちゃんと『ごめん』って言えよ……。」
俺たちは、会話しながら観覧車のある方向へ歩き出した。
「ねぇっ、観覧車の前にあれ乗りたーい!駄目?」
そう言って、縁種が指差したのは「ウォーター☆アイランド」という看板が掲げられている、水の上を進む乗り物のようだった。
進むのは、トンネルのように設計されている場所。そのトンネルを探検するー……というようなアトラクションらしかった。正直、面白そう。多少は道草食っても大丈夫だろう。観覧車が30分後には逃走するようなワケでもあるまいし。
「楽しそうだな。寄り道ならぬ、寄りアトラクションするか!」
そう言って、担当のスタッフに1日乗り放題カードを見せた。そして、俺たちは、静かに水上に浮く乗り物に乗り込んだ。俺は(俺たちから見て)右、縁種は左に座った。
その乗り物は、何というか。ダンボールのような形だった。そのダンボールの中に、座る場所がある。これでジャングルの川を漂う設定であろう。本来であれば、ダンボールでは水を吸収してしまう。で、結果的に川底を進んでいくだろうけど。
そんなことどうでもいいけど。
「ぅおお!キレイ!お洒落!!」
暗闇の中、熱帯雨林のように、木々やツルが立ち並ぶ。木の枝から、オオハシがちょこんとこちらを見下ろす。BGMで、水のざばぁ、じゃばぁ……という音や鳥のおしゃべりで「ピョルルル」とか「ガーガー」とかが聞こえる。BGMなんて適当に選んだのかもしれないが、凄くこの空間にマッチしている。
「ねぇねぇ優斗君!黙っているのもアレだし、何か話そ〜!」
「アレって何だよwwまぁ、何か話すのは賛成だ!」
「じゃあ、何話そうかなぁ〜〜……あ!」
そう言うと、彼女は笑顔で話し始めた。
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