第十章

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第十章

 そんなある日、母さんが自動車事故で死んだ。  私が母さんにあの部屋に監禁されている時だった。  仕事に行く途中、カーブを曲がりきれず壁に激突したらしい。  即死だった。  警察が事情聴取に来て、父さんが応対していた。  車のブレーキホースが鋭利な刃物で切られていたらしく、警察は他殺と見て捜査をしていた。  母さんの葬式の日。  今でも父さんのあの顔を忘れない。  悪魔のような顔で笑っていた。  まるでやっと解禁されたとでも言いたげに。  父さんは次の日から私を監禁部屋に閉じ込め、昼夜関係なく私に乱暴した。  父さんは狂気を極め、私は学校に行くことも無くなった。  いや、それよりも何よりも、携帯を奪われ、彼と連絡が取れなくなったのが何よりも辛かった。  それが何ヶ月も続いた。  私の精神が限界だったことを分かって欲しい。
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