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第十一章
事態は急変した。
今度は父さんが死んだのだ。
病死だった。
父さんは元々心臓が悪かったが、突発性心筋症を起こし、書斎で亡くなった。
遺書のような告白文が、私物のパソコンに残っていた。
私への暴行監禁。
夫婦の不仲。
妻への殺意。
殺人計画の実行。
私が例の監禁部屋に閉じ込められていた時の事だった。
父さんが連絡無しに出勤して来ない事に不信に思った学校関係者が、家を訪ね、冷たくなった父さんと、部屋に閉じ込められ、栄養失調でグッタリしている私を発見した。
元々死ぬ気だったのだろうと若い刑事が話していた。
警察も被疑者死亡という事で、捜査は打ち切られたようだ。
でも私は知っている。
母さんを殺したのは父さんではない事も、父さんは病死でない事も。
しかしそんな事はどうでも良かった。
やっと、禁じられていた感情を解放する事が出来る。
これで私は思うままに生きる事が出来る。
私が本当の私になってからの、初めての恋。
私は彼の元に向かった。
彼は私を待っていてくれた。
彼との新しい暮らし。
その晩もいつものように一緒に食事をして、一緒の布団で寝た。
そんな幸せな生活がずっと続いて欲しいと思っていた。
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