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第二章
私は、朝比奈碧(アサヒナ アオイ)。
当時、私は子供だった。
何も分からずに、ただ恐怖に震えていた。
父さんの朝比奈陽介は都内でも有名な進学校、私立陽光学園の校長をしている。
私もその学校の生徒である。
母さんは大手貿易会社、城金商事の一人娘である。
いわゆる世間でいうお嬢様だ。
二人はお見合い結婚をして私が生まれた。
想像通り、なに不自由ない暮らしをさせて貰っていると思う。
だけど、それで幸せかどうかとなると別の話である。
私はこの二人が怖くて仕方なかった。
父母は敬虔な宗教信者だった。
それ故か、私に対する躾は厳しかった。
色々な禁止事項やしなければいけない約束事があった。
両親の夫婦仲は悪かった。
毎日繰り返される夫婦喧嘩。
罵り合う声、ガラスの割れる音、何かが倒れる音。
私は布団の中で、耳を塞いで震えていた。
夫婦喧嘩が終わると、父さんが私の部屋に来るという流れが確立していた。
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