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読み進めていると、使われている英文の表現にちょっとクセがあり、分かりにくい箇所がいくつかあった。
「これ、どういう言い回しだろうな・・」
ぴったりハマる日本語が思い浮かばない。
近い事象がないか、いくつか文献を調べてみる。
コンコンコン。
ノックする音が聞こえ、立ち上がってドアに向かいスライドさせた。
「はい・・えっ?」
「おはようござ・・えっ・・西島先生?」
開けたドアの向こうにいたのは、彼女だった。
どうして、ここに?
「あ、どうぞ。といっても、今は僕しかいないんだけど・・。高浜教授に用ですよね?」
「ええ。外科の白坂教授から、文献とデータを渡してほしいと頼まれて」
「そうなんですね。平嶋さん、白坂教授がクライアント? 高浜教授からは平嶋さんのことを聞いたことが無いし、うちの教授は英語が堪能だから」
「はい、白坂教授のお手伝いをさせていただいてます」
俺は彼女から、冊子とデータの入ったUSBを受け取ってキャビネットに閉まった。
それにしても・・だ。
「まさかここで平嶋さんに会うとは思わなかったです」
「本当にびっくりしました。でも、西島先生どうしてここに? あ・・ごめんなさい、お仕事中に。お邪魔でしたよね、失礼します」
「いえ、そんなことは・・」
もう少し、話がしたい。
何か話題は・・。
「そうだ! 平嶋さん」
「はい?」
「ちょっと・・教えてほしいことがあって。少しだけ、時間ありますか?」
俺は彼女を呼び戻した。
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