1.空気感

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データや文献もだいぶ整理でき、ひと区切りついたところで壁の時計に目をやった。 18時か・・。 そろそろ、片付け始めようか。 高浜教授は会食があるらしく17時半過ぎには退勤したから、今は俺ひとりだ。 19時までもう少しあるな。 だいぶ頭を使ったからか、眠気に襲われた。 ちょっとだけ・・と、俺は研究室のソファに横になった。 「・・んっ」 何かが肩をくすぐった気がした。 その場所に手を伸ばすと、何かにあたる。 何だ・・? 不思議な感触に瞼を持ち上げると、目の前には少し困ったような彼女の顔があった。 「・・え? えっ? ええっ!」 驚きつつ、俺は急いで身体を起こす。 時計の針は、もう19時を過ぎていた。 「あー・・すみません。少し寝るつもりが・・」 「あ、いえ、どこか具合が悪くて寝てるのかなって。だとしたら、こんなところで寝てたらいけないと思って起こそうとしたんです。大丈夫・・ですか?」 困ってたんじゃなくて、心配してくれてたのか。 良かった。 「大丈夫、どこも悪くないです。慣れない頭を使い過ぎて、少し眠くなっただけなので」 「そうだったんですね・・。良かったです。連絡がつかなかったので、まだお仕事中かと思って寄ってみたのですが、お疲れなら、また今度で構いませんから」 そう言って、彼女は微笑む。 その表情を見て、ふと思った。 そんなに、自分を抑えなくていいのに・・と。
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