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データや文献もだいぶ整理でき、ひと区切りついたところで壁の時計に目をやった。
18時か・・。
そろそろ、片付け始めようか。
高浜教授は会食があるらしく17時半過ぎには退勤したから、今は俺ひとりだ。
19時までもう少しあるな。
だいぶ頭を使ったからか、眠気に襲われた。
ちょっとだけ・・と、俺は研究室のソファに横になった。
「・・んっ」
何かが肩をくすぐった気がした。
その場所に手を伸ばすと、何かにあたる。
何だ・・?
不思議な感触に瞼を持ち上げると、目の前には少し困ったような彼女の顔があった。
「・・え? えっ? ええっ!」
驚きつつ、俺は急いで身体を起こす。
時計の針は、もう19時を過ぎていた。
「あー・・すみません。少し寝るつもりが・・」
「あ、いえ、どこか具合が悪くて寝てるのかなって。だとしたら、こんなところで寝てたらいけないと思って起こそうとしたんです。大丈夫・・ですか?」
困ってたんじゃなくて、心配してくれてたのか。
良かった。
「大丈夫、どこも悪くないです。慣れない頭を使い過ぎて、少し眠くなっただけなので」
「そうだったんですね・・。良かったです。連絡がつかなかったので、まだお仕事中かと思って寄ってみたのですが、お疲れなら、また今度で構いませんから」
そう言って、彼女は微笑む。
その表情を見て、ふと思った。
そんなに、自分を抑えなくていいのに・・と。
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