第十二話

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叔母さんの行動が、恭平に不安を与えた? お姉さんが言うには俺が小林になったことで、できのいい兄貴が出来た、そう思った叔母さんの思惑にはまったというのだ。 実際、恭平の母親は会社の代表取締で会社を次の世代に受け継ぎたいと思っていたが、恭平のゲイばれで大きく阻害された。 結婚できない息子より赤の他人であれ籍に入った祐一、あわよくば結婚して、いや結婚しなくても次の子供を残せる。そう思ったのではないかというのだ。 俺は、黙ってその話を聞いていた。 「まったく頭でっかちの両親で申し訳ないわ、それに恭平にもあきれる、ガツンといってやればいいのよ、祐一君は俺のものだ、手を出すなって、何処かでまだ思ってるのかもね、やっぱり女には負けるって、結婚がステータスなんて時代は古いのよ、アー、われながら、弟にも腹が立つ!」 お姉さんは、ご両親の話をし始めた。 仕事のできる母親は父親のことを上から見下ろしていた。 家事なんかできないお嬢様はそれをちゃんと受け入れた父と結婚した。 夫婦のことだから何があったのかは知らないが、恭平が生まれてしばらくは中のいい家族だったそうだ。 でもある日から父親は家に帰ってこなくなった。 姉はあわてて、近所の人に頼み、母に連絡、やっと帰ってきた母親は、当然何もできず家政婦を頼むことになる。 もともと頭のいい人だから、少しずつ掃除、洗濯、食事も何とかできるようにはなって行ったそうだ。 すると父親はもっと帰ってきにくくなった。 祖父母も来てくれて、隣に住むから母親には、完成したら子供たちの面倒を見てくれる、でも彼らは、完成間もない家に入ることはなかった。 孫たちの世話をするために来る途中で起きた事故。 母親は父を責めた。 そして父は家での鬱憤を会社で晴らすことになる。 お金は一切家に入れることがなくなり、たまに返ってくると自分の部屋に引きこもったままになる。会話らしい会話はなく彼女が中学になるとその事件はおきた。 レイプは未遂に終わった。 助けてくれたのは恭平と当時この家を借りていた二人の男性。捕まったのは父親の会社の人三人だった。 「それからは、私は人間不信になるし、恭平は女嫌いになるし、親はそれが自分がまいた種だって思うことすらできない浅はかな人間なの私たち家族はおかしい、それを突きつけられても、子供がおかしいって言うような人たち、ごめんね、祐一くんたちまで巻き込んじゃって」 お姉さんは、母親のほうからちゃんと話を聞いてみてくださるという。 大学は行きたければ好きにしても良いが母親にいいように使われるような言葉に乗らないように言われ、お姉さんにはその辺のことを勘違いしないように言われた。 「貸しているのは私で母じゃないから、感謝されるのはお門違いだって言うのわかってないよ、いい、何かいわれたら、ここは私に借りているから、私をとおしてくれって言っていいからね」 お姉さんはそういわれた。 それと、会社経営してみないと誘われたようだけど、それは俺に任せるという。ただ、ちゃんと母親の会社を見てからにしないと痛い目を見るのは自分よといわれた。 違う職種で会社を作りたいというのであれば話は違うけれどもねと釘を刺されたようなものだ。 「ありがとうございます、ちゃんと考えて見ます」 「ほんと、ごめん」 と頭を下げたお姉さん。恭平はほっときゃいいし、大学か、就職先には絶対いく、そこを捕まえてやるからさといわれたがそこは俺が断った、俺たちの問題だし、これから先乗り越えなきゃいけないこともいっぱい出てくる、ここで躓いちゃいけないと思ったのは俺の浅はかな考えだったとお姉さんに気づかせてもらったからだ。
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