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「茜、元気そうでよかった。俺らの部屋、1年前と何も変わらないよ。割れたウェッジウッドのティーカップも。元通りにはできなかったけど新調した。俺、空間デザイナーで独立したんだ。だから、その・・・・」
ぎゅっと私の手を握る。
「俺と付き合ってもらえませんか?順番なんてどうでもいい。茜の一番がずっと仕事でもいい。茜が俺といて、俺と一緒に暮らした時間が宝物だって言ってくれるならそれだけでいい。だから・・・・」
私は修の必死の形相に溜まりかねて修の手を離した。
「茜・・・・俺のこと嫌かな・・・・手を触れるのも嫌?」
パタパタとテーブルに涙が落ちた。
「ち・・・違うの・・・・」
声を上げて泣きたい、修の胸に飛び込みたい思いを必死に抑える。
「私、この1年、ひと時も修の事、忘れたことない・・・・の。ずっと、会いたいと思ってた。アフタヌーンティーを禁止した時、修と会うことも禁止したの。修の気持ちを行動を窮屈に感じた自分への罰として・・・・」
修は立ち上がって私の隣に座った。
そっと背中を撫でてくれる。
「じゃ、今日は2つの解禁日だね。茜はアフタヌーンティーと俺に会うこと、俺はアフタヌーンティーと茜に触れること」
「修っ!逢いたかったっ!ごめんなさいっ!ちゃんと話もせずに飛び出して、連絡も一切しないで心配かけてごめんなさいっ!」
私は修に抱きついた。
「俺も・・・・」
「アフタヌーンティーセットとロイヤルミルクティー、少し温めました生クリームになります。どうぞ、冷めない《・・・・》内にお召し上がり下さい」
ウェイターが新しく淹れたロイヤルミルクティー2つ運んできた。
私と修は出逢った時と同じ日、同じ時間、同じ場所で2つのコトを一緒に解禁した。
離れていたお互いの1年間の話に華を咲かせながら。
おしまい
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