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「なあ、今度の日曜日、プロ野球の試合見に行かない?招待券が4枚あるんだけどさ。他にも誰か誘って、行こうよ。
タカシとかエッちゃんも誘ってさ。
タカシ、野球部で詳しいし、よく知ってるヤツが隣で説明してくれると楽しいしね」
俺は親戚の伝手で貰ったプロ野球のチケットをエサに、高校時代からの腐れ縁の多佳子に電話をかけた。
多佳子と俺は、学生時代、お互いがお互いに告白して振られた間柄。
俺が多佳子に恋愛感情を抱いていた時には、多佳子には他に好きな人がいたり、反対に多佳子が俺に告白してくれた時には、俺に別の彼女がいた。
“そっか。お互いタイミング合わないね”
俺が多佳子をフった時、そう言って寂しそうに笑うその顔に罪悪感を抱いたことを、ついこの前のように思い出せる。
それから2年近く経った。
俺もその時の彼女とは別れ、今はフリー。
多佳子もたまに会えば“誰かいい人いないかねー”なんて言ってたくらいだから、誰とも付き合っていないのは間違いないんだけど、お互い“仲の良い異性の友人”ポジションから踏み出して、関係性を壊してしまうのが怖いのか、俺も多佳子も、お互い恋愛感情抜きの付き合いに徹していた。
そんな中。
俺も先日25になった。
ということは多佳子ももうすぐ25。
仕事も板につき始め、お互いそろそろ将来のことも考えて交際相手を探してもいい歳頃だ。
俺自身、仲のいい友人ポジションにずっと多佳子がいたので、学生時代から付き合っていた元カノと別れて以降、他の女性と接点を持つことがほとんど無かった。
職場はほぼ男性ばかりの職場。
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