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私が教室にいると、急にりつが筆箱を取りに
駆け込んできた。
だいぶ慌てているみたい。
「うわっ、」
りつの驚く声が聞こえたかと思うと、
「ドシャーン」
気がついたら、押し倒されていた。
本能的にだろうか、彼女は私が頭を打たないように手を回してくれていた。
お陰で私は痛くも痒くもない。
「あっ、りつ、大丈夫?」
私を押し倒したことに気づいていなかったのか、彼女は目を丸くしてすぐに離れた。
「あっ、ごめん!マジで、大丈夫?」
この人はどこまでも優しい人だと私は思う。
本当に自分より人のことを大切にする人だ。
なぜかドキマギしているこの人を見ると、甘えたくなってしまった。
「ギュ」
思わず抱きついてしまったが、この人はどんな表情をしているだろうか。
きっとまん丸の目がさらに見開いているだろう。
「私、振られたの。」
本当に私は疲れていた。
なぜなら、私はこの人の腕の中で泣きじゃくってしまったから。
「うっ、うぅヒック。」
どれだけ時間が過ぎたか分からないくらい、泣いていた。
そしてその間、この人はずっと私をさすってくれていた。
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