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「ご報告です。本日より外出自粛、完全解禁となりました。これからは、以前と同じようにNoマスクで、外出をすることができます。ソーシャルディスタンスを気にする必要もございませんし、海外への渡航も自由です。条件を満たせば、支援金も出ますので、是非ご確認してみてください。」
黒服を身に纏った国からの使者たちの言葉に街は歓喜した。そして、これからの自由を祝うための騒がしい夜が始まる。人々が、今までの鬱憤を晴らさんと言わんばかりに、灯りが煌めく街道を駆けるのだ。
飲食店には、雪崩のように人が入り込み、食欲を満たすための注文が殺到する。映画館やカラオケボックスなどの娯楽施設も、家族連れから高校生のカップルまで、様々な者でごった返していた。素顔を露わにした人で賑わっているこの街の景色は、どの者たちにとってもひどく久しいものであり、皆が浮かれていた。
そうして華やかな街の時間は、優雅な踊り子が眼前を過ぎ去るように軽やかに過ぎていった。
しかし、まだ人々の夜は終わらない。
ある者たちは、解放された喜びに手を取り合い、肉を喰らい、酒を飲む。ある者は、妖艶な色香で異性を惑わし、またある者は、その色香に惑わされ、性欲を満たし合う。その場の雰囲気から、違法な薬物に手を出してしまう者さえいた。
無論、早々に夜を終わらせる者もいたが、多くの者は鈍行列車の旅のように、行く先々で自らの欲を満たしていた。そのため、皆が終点の睡眠までたどり着くころには、丑三つ時すらはるかに回っていた。
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