プロローグ:毎日、恋してたのだろうか

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そういえば上松とは本の話はしても、上松から恋愛の話なんてしたことがない。大雅自身は小学校の時に可愛いと思った子がいたり、中学時代にはクラスの女子と3ヶ月だけ付き合ったりしたこともあり、その話を上松にしたことはあった。しかし、上松に彼女がいたという話は聞いたことがない。そもそも当たり前のように上松の恋愛対象は女だと思っていた。だいたい、お前の恋愛対象って女?なんて、付き合いの長い自分達が改めて聞くのはおかしい。だからこそ確かめたことがないのだ。   もし横山は大雅、縦野は上松をモデルにしたとして、作品の中で縦野が横山を溺愛しているように、現実世界では上松が自分のことを溺愛していたら?   「待って、あいつ俺のこと……好き?」  話の中だけ恋人同士の自分達を妄想した話だったとしたら?この話は全て、上松の願望だったとしたら――?  東山大雅、大学一年生初日の朝の出来事だった。
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