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「カツカレーうまかったなぁ」
「おいしかったね」
食堂でのメニューにオススメと書かれたいたカツカレーをたいらげ、隣の真中に声をかけた。真中も同じように美味しいと思ったらしい。
二人はオリエンテーションを済ませ、大雅は真中と大学の食堂で昼飯を食べた。その間も真中は野球部の面々のその後や、真中の高校の話など、とにかく話題が尽きない。交友関係が広いのか、いろんな人間の話が出てくる。真中の話し方が上手なせいか、大雅はすっかり聞き入っていた。
「東山は、高校では何してたの?」
「俺は文芸部に入ってた」
「へぇ、いいじゃん」
文芸部という自分からはあまり想像できない部活でバカにされるかなと思ったが、意外にも真中が興味を持ってくれたことに大雅はホッとする。
「まぁ、ずっと読み専だったからあんまし描いてないけど」
「書いたことはあるんだよね? どんな作品書いたの?」
「ボーイズラブ」
「え、それってBLってこと?」
「ははは、そーゆーこと」
流石に引くだろうとぶっちゃけてみたが、意外にも真中は興味深そうに食いついてきた。実際は、人数の少ない文芸部の活躍をアピールするためにみんなでBLコンテストに応募するために小説を書いた。それが楽しかったのか、上松は今もBLを書き続けているわけだけれど。
「面白そう。東山が書いた小説読んでみたいな」
「それはちょっと恥ずかしくて無理かな」
「東山はどうなの? 男同士の恋愛って」
「なんだよ、いきなり」
てっきり小説を書く、ということについての質問になるかと思ったので驚く。
「俺、ずっと前から思ってたんだけど、東山って男にモテそうな気がするんだよね。そういう話、なかった?」
「あ、あるわけねーだろ!」
ふと今朝気づいてしまった上松のことが頭をよぎったが、必死でかき消す。
「俺は偏見ないよ。絶対に男は女と付き合わなきゃいけないっていう時代でもないしね」
「な、なあ、真中はサークルどうする?」
これ以上話すとうっかりボロが出そうなので、無理矢理、別の話題を切り出す。
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