弥子、忘れ物を届ける

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「弥子はまだまだ修行中。今日は始まりの村を出て、何層か上のダンジョンに狩りに来たんだよ」 なるほど。 そう思うとおもしろい。 旦那様は私を元気にする天才だ。 「ありがとうございます」 満足そうに頷き、旦那様はぐぅっと伸びをした。 そしてそっと肩に頭を乗せてきた。 はわぁ、いちゃいちゃです。 私は耳の後ろに熱を感じつつ、旦那様の頭を撫でた。 弁当を忘れたと気づいた時は、ショックで青ざめた。 思わず「がーん」と口から効果音が出たくらいだ。 でも、弥子が届けに来てくれた。 すごく大変だっただろうに、諦めずここまで来てくれたのだ。 お陰で弥子の美味しい手料理を食べられたし、こうして一緒にお昼を過ごすことが出来ている。 「忘れ物、ラッキー」 たまにはしてみようかしら、などと。 旦那様は密かにそう思ったそうな。
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