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「ごめんね。母さん疲れちゃって。今日は寝てもいいかしら?」
野鳥の話をしようとしたサシアの言葉をもし遮っていなければ何かが変わっていたかもしれない。
本番が近づくとよくある話だったので子供たちがわがままを言って困らせることもなくその日はみな眠りについた。
どの親子も同じような状況で大人たちは野鳥の不可解な死について知る機会を逃した。
子供たちの興味はすぐに別の所にそれたので、数日後に親たちが話をできる余裕を取り戻した時にはもうその話題が上がることはなく忘れられていった。
売り物には少しいびつだった羽根製品を子供たちは自分のアクセサリーにすることにした。
ネックレスにしたり、髪留めにしていてとてもかわいい。
大人たちももちろん気がついていたが、その羽根が血に染まっていたことを知らない大人たちはほほえましく見ていた。
失敗作を子供たちが自分たちのために使うことは何ら珍しいことではなかったので、子供たちがこの後どうなるかなど想像することさえできなかった。
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