溶けない城と眠らない街

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 子供たちが埋めた野鳥は死してなお土を汚し、森はもはや取り返しのつかないところまで汚染されていた。  新しい感染症で薬は見つからず、汚染のスピードの速さから考えて現状では薬が見つかる前に大陸ごと滅びる未来しか見えなかった。  妖精たちも相談に乗ってくれたが、彼らの魔法をもってしても治療は難しく、薬の材料になりそうな植物なども特定できなかった。  幸いガレリア一座の眠りは一定の効果があったようで病の進行を抑えられているが、森の汚染具合を考えても迷っている暇はなかった。  王とはこういった緊急事態のためにいるのだと子供のころから教えられてきた。  もちろん王だけでなく王族は皆、覚悟ができている。  すべての汚染を城に転送する魔法を王は使うと決めた。  神々に愛された国の、妖精の友達であるオルベリアの王だったからこそ可能になったわざだ。
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