溶けない城と眠らない街

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 建国王が大陸中の美しい自然を魔法で内苑に集めたのだ。  少なくなった自然を1ヵ所にあつめ側で見守ろうとしたのだろう。  魔力をわずかにしか持たない人々には妖精たちの姿は見えず、小さな光が飛び交っているようにしか見えなかったが、それだけでも美しく心癒された。  夜になると花の上で休む彼らは、まるで星空が下りてきたかのようにキラキラと瞬く。  その星空の上に城がある姿は昼間のそれとはまた別の魅力があった。  妖精たちの輝きは氷る城や外苑がまるで鏡であるかのように映し出されて広がり、本物の星空と一体化している。  その昔、城が氷り時を止めたのには一体どんな理由があったのだろうか?  今を生きるものなら小さな子供でも知っている話だ。
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