溶けない城と眠らない街

　５０人を超える大所帯で、子供もたくさんいた。
　とはいえ、子供たちが舞台に立つことはない。

　小さな子供の役も大人が演じるのだ。
　それでいてちゃんと幼い子供のように見えるのだから彼らの優秀さがわかろうものだ。

　１０歳を超えると舞台を見ることが許されるようになる。
　ただ見ることしか許されないが、それでも彼らは目を輝かせた。

　彼らが舞台に立つにはまだまだ長い年月がかかる。
　なかには最後まで舞台に立つことが許されないものもいるかもしれない。

　誰も何も教えてくれないこの世界での修業は見ることからはじまり、まねることによって成長し、自分らしさを見つけて完成するのだとまずは自身で気づかなければならない。
　そしてその年は双子が一組１０歳を迎えた。