溶けない城と眠らない街

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 オルベリアは観光で成り立っている国だ。  大陸一の規模を誇る隣国ドルギース帝国のもっとも小さな街にも満たない小さな国だが、訪れるものが後を絶たない。    静かで穏やかな雰囲気を大切にしているため、多くの観光客で騒がしくなることを良しとせず、この国を訪問できるのはたとえ誰であろうと一人一回と決まっている。  古くからオルベリアは神の住む国ともいわれていて、彼らが言うのであればと皆、その決まりを律儀に守り続けている。  オルベリアは王族を中心に力ある魔法使いが多くいる魔法大国であったが、今はほんの少し魔法を使えるものがいるだけの弱小国になってしまった。  そんなオルベリアがどの国からも攻め滅ぼされることなく今も国として独立していられるのは神の住む国だけでは説明がつかない。  何も持たない国の言うことを他の国が素直に聞いているのにはそれなりの理由があった。  オルベリアの王家にはどの国も返しきれない恩義があるのだ。
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