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「あ、そういえばさ、さっき柘榴からこんなもんもらってね。」
あ、嫌な予感。
柘榴様は、裏社会そのものみたいな方だから、きっとしょうもないものしか渡してないに違いない。俺の嫌な予感はよく当たるんだ。
「…嫌ですよ。俺最悪逃げますからね。」
「えー、頂いたのはこちらの箱です。」
「無視ですか。」
「黙れ。」
「ひぃっ、」
イッたばかりで敏感な先の方を服で擦られた。痛みと快楽が。むり。
「んっ、」
くるくると擦られる先端の、むず痒いようなくすぐったいような感覚も、今なら頭の奥がチカチカするほど強力に理性を溶かしていく。
潤んでぼやけた視界に映った、片手でパカリと開かれた中身には見覚えがあった。
やはり嫌な予感はあたっていた。
あの人はまともなものを渡さない。
「えっ……む、むりむりむりむり!!!!無理です!!」
「えぇ~、やってみたことあんの?」
「っ、まあ…すごく痛かったです。だから絶対嫌」
「ふぅん。面白そ。やろ。」
「やめてください!!」
箱の中に入っていたのは、針金のような、細い金属の器具。いくつもの種類が入っており、そのどれもがイカれた形状をしている。
イボイボになっていたり、えげつないくらい曲がっていたり、異常に長かったり、太かったり、ブラシが付いていたり、先が漏斗のようになっていたり。
どこに使うのかは明白だ。そしてこんなモン挿れられたらどうなるのかも明白。
死ぬ未来しかそこにはない。
でも手錠やらなんやらが入った箱を楽しそうに引っ張り出してくる紫梠様には何を言ってもきっと届かない。
というかその箱どこから持ってきたんだろう。さっきまでなかったよな。
なのでとりあえず。
「し、紫梠様!!お風呂!!風呂入りましょう!俺もう一回イきました!」
俺には気を逸らすしかできないのだ。
「あー、そっか。そうだったね。」
「約束!!風呂!!」
風呂入れてくださいーーいいでしょーー俺花街からそのまんま来たんで汗まみれなんですーー!!と駄々をこね散らかす。
そんな俺をちらっと見て、紫梠様は、んーと言って少し考えた。
「んー、ま、いいよ。湯は張ってあるから入ってな。俺その間に準備するから。」
「はい」
どうせなら紫梠様もお風呂道連れにして尿道プジーのことなんて忘れさせたかったけど、なかなかそう上手くもいかないようだ。
「あ、後ろはほぐすなよ。」
「はい…。」
今日は紫梠様自らほぐされるらしい。いやだ。
あの人の無駄にきれいな指を汚すのは罪悪感が湧く。さっき早速やられたばかりだけど、それでも。
せめて洗いまくっておこう、と決めた。
風呂を上がり、用意されていた着物を着て再びベッドへ。帯がない。変態め。
「出ましたけど…うげ、なんですか。」
広がっていたのは、潤滑油とさっきの器具。それから手錠やら足枷やら鎖やら。
箱に入っていたのがばらばらに出ている。
「お、風呂出た?じゃあやろっか。」
「あぁあちょっと今日用事を思い出しましたんで帰らせていただきたく……」
「それで逃げられると思ってんの?」
「ほんとにやなんですよ!!!」
「なんでそんなに嫌がるの。やったことはあるんでしょう?」
まあ俺も男娼まがい。
勿論そこに入れられたことは何度もある。
だがしかし。
あの日以来、俺は尿道系がだめになった。
理由は単純。
「…………一回、変態に当たって。」
「ほう。」
「………電気を流されました。」
「え、」
一瞬固まった紫梠様は、派手に笑い出した。
なにわろてんのや。
「っ、はははははははっっ!!!!!」
「笑い事じゃないです……本気で死ぬかと思いました。それ以降尿道はだめです。」
「それは酷い目にあったね。」
ははっと非常に爽やかに笑われる至高の君に非常に殺意が湧いた。
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