一一ニニ

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「また妖怪でたの?」 「そうね、妖怪靴下なくしがそこに」  あなたを指差せば、ふにゃっと笑う。許さないぞ、今回は。洗濯に出したものがいつのまにか消えるって何。本当の妖怪じゃない。  それに、妖怪の仕業にするのは私の得意技なのに。あなたが使うのを、許した記憶はない。 「妖怪にらみつけだ〜」 「ふざけてんじゃないわよ、今は真剣に言ってるんだけど」 「はい、ごめんなさい。でも気づいたらないんだよねぇ、なんでだろう」  反省してるようには見えない。それでも、怒りを持続させるほどの気力はもうない。 「ま、いいや、新しいの買うしか無いね」  畳んだ洗濯物をクローゼットに持っていけば、雑に隠されたプレゼント。  絶対隠す気も何もないでしょ、あいつめ。  見ないフリが年々上手くなっていく。ぶつかり合ったところで良いことなどなくて、それに、気力ももうない。ただ平坦な緩やかな生活を続けていくことの方が多分幸せだから。
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