一一ニニ

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「カレーできたよー」  お得意のカレーをお皿に。その上にはトロトロのチーズ。唯一の得意料理は、確かに美味しい。美味しいんだけども。ううん、ありがたい。料理してくれるだけありがたいからいいの。うん。  飲み込んだ言葉は、どんどんと胸の中で降り積もって定期的に爆発する。何度めかわからない爆発しそうな想いを噛み締めて、毎回返ってくる言葉は「もうやめる?」だ。  その言葉が一番嫌い。直すでも、どちらかが譲るでもなく。やめるを選択肢として出して来るあなたが、一番大嫌い。  言ってもどうせ、そんなつもりじゃとか言うし、すぐ忘れるし。やめようやめよう。考えるのを止めないと、勝手に一人でまた変な方向に行ってしまう。 「食べないの?」 「食べるわよ」  カレーはやっぱり、とびきり美味しい。多分、人生で一番美味しいカレーは、このカレーだろう。いつのまにか、自分で作るカレーの順位を飛び越えていたな。 「なににやけてんの?」 「おいしくて、人生で一番美味しいカレーにランクインしました」 「ありがと、う?」 「こちらこそ」  ふふっとつい漏れ出た声が耳に入って、おかしくなってお腹を抱えて笑う。あんなに苛立ってたことが、一瞬でどうでも良くなっちゃった。 「急に怖いんだけど」 「ううん、なんでもないの」 「なんだよ、それ」 「いつのまにか、美味しさが染みるようになったなぁと」 「意味わかんないけど、美味しいならよかった」
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