一一ニニ

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クローゼットに雑に隠されてたプレゼントは、この為だったのか。包装を解けば、ピンク色の腕時計。見せつけるように私の目の前に出されたあなたの腕に巻かれた、腕時計の色違い。 「お揃いなんて今持ってるの、結婚指輪くらいだろう? 腕時計もいいかなって、一緒の時間を歩みましょうみたいな、恥ずかしいな、なんか」  そうやって、恥ずかしい時笑って誤魔化すのとかもあなたの悪い癖だと思うの。今は嫌じゃ無いけど。 「ありがとう。私の方こそ、いつも怒っててごめんね」 「しょうがないよ、僕が悪い時もあるし」 「私が悪い時もあるってことね」 「そりゃあね、時々。まぁお互い様なんじゃない? ってことでケーキ食べちゃおう」  チョコレートケーキを切り分けてお皿の上へ。同じサイズのチョコレートケーキに、一瞬考えてから言葉にする。 「チョコレートケーキなんだね」 「え? ショートケーキがよかった? 最近チョコレートケーキばっかりだったからこっちの方が喜ぶかと」  
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