俺色に染まるなら

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ケセラちゃん 2日目! 「今日も1日 俺のサポートを  頼むよ  1キロの ダンベル 2個  と言ったら  コレ と コレ を  片手に1個ずつ 持ってくるんだ  持てるかな 」 「持てます」 「じゃあ  5キロの ダンベル 2個」 「大丈夫です」 「5キロの ダンベル 2個  持てるなら 5+5=10   10キロの バーベルを持ってみよう 」 「ぅぐっ・・・も・・・持てま・・」 「こうやって 持ち上げ  首の後ろに 担ぐんだ  さあ 手伝うから  頑張ってごらん! 」 「ぅぐぐっ・・・えいっ あ・・・できました」 「そうだ その調子だ  少しづつ 重い  ダンベルや バーベルを  運べるように   筋肉を鍛えよう 」 「はい がんばります」 「俺の指示通りの  ダンベルを運んで来たら  昨日と同じように  足の中指と踵に力を入れて  真っ直ぐに立って  俺が 会員さんに説明する  言葉を聞いているんだよ  昨日は 俺が  会員さんを 褒めた時だけ  カッコいい もう一度見たい  と 言ってもらったが  今日は 俺は   初めは 何も 言わないから・・・  ケセラちゃんが 先に  見ている 会員さんの動作について   何か 俺に 質問するんだ 」 「どんな?」 「足の幅は   肩幅くらいでいいんですか?  目は   どこを見たらいいんですか?  息は   どのタイミングで吐くんですか?  おおよそ   こんな質問だ 」 「むずかしいです」 「会員さんも みんな  むずかしい と 思いながら  やっている  だから 会員さんの動作を見て  何か 気になるところを探して  質問するんだ 」 「はい」 「筋トレは   1.正しいフォーム  2.正しい呼吸  3.自分に合った方法  この3つが重要だ  それを いい加減に行うと  ケガをする  ケセラちゃんが 今日は  どんなところに気がつくか  とても 楽しみにしてるよ 」 「はい 一生懸命 考えます」 「よし! 期待してる 」 ケセラちゃんは  会員のトレーニングを見て がんばって質問してきた 「肩甲骨って どこからどこまでですか?」 「目は つぶってもいいんですか?」 「疲れなかったら何回やってもいいんですか?」 「エイッ って声出したらダメなんですか?」 「爪伸びてたら危なくないですか?」 どれも 素晴らしい質問だったので 俺は しっかり 褒めた 「いいところに気づいたな」 「それ 重要なポイントだ」 「さすが目の付け所が違う」 一つのトレーニングが 終わるたび 休憩 水分補給 立ち方のフォームを確認 質問のタイミングを打ち合わせ 次のクライアントへと向かう その繰り返しで  一日が過ぎようとしていた 夕方には 相当 疲れたはずだが ケセラちゃんは 弱音を吐かなかった 「疲れた時は 疲れたと  言っていいんだぞ 」 「でも・・・」 「でも 何だ?」 「がんばらないと・・・」 「がんばっているじゃないか  がんばり過ぎて  疲れ過ぎたら  続けられないぞ 」 ケセラちゃん は 涙ぐんだ 「がんばらないと レイ先生 に  嫌われるんじゃないか・・と 」 「大丈夫だよ   ケセラちゃんは  一生懸命 過ぎる   真面目なんだな  だから きっと 疲れて  死にたくなったんだ  もっと 素直に   自分の 体や 心を  甘やかして いい  疲れたら いつでも  疲れた と 言うんだ  いつまで 疲れた と  言わないんだろうか  俺は ずっと 気になっていた  親には 甘えられなくても  俺には 甘えて いい  人に 甘える って   意外と 難しいことだ  だけど   人に 甘える 勇気は  生きていくための 勇気だ  人は 一人ぼっちじゃ  生きられない  誰かと 助け合って  誰かに 甘えて  やっと 生きられる  俺で 訓練するんだ  俺は どんな甘え方をされても  絶対 怒らないから  疲れたら 疲れた と 言え  わからなければ わからない  不安なら 不安だ と 言え  何かしてほしいことがあれば  素直に してほしいと   勇気を出して 甘えてごらん 」 ケセラちゃんは  声を殺して 泣いた きっと たくさんの辛さを 一人ぼっちで  一生懸命に  乗り越えてきたんだろう
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