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トキさんの好み
「りおちゃん最近きれいになったよな。やっぱり男かい?俺が10歳若かったらな~」
毎日朝と夕方に寄ってくれる常連の藤原さん。たしかトラックの定期便の仕事だと言っていた。
「なに言ってるんですか。奥さんいるくせに。でも藤原さんっておいくつでしたっけ?」
「もう40だよ。りおちゃんは、25だっけ?娘は17になったし、ちょっと無理だよな」
「そんなこと言ったら奥さんがやきもち妬きますよ」
「嫁さんなんて、20年もいっしょにいたらもう空気みたいなもんで、相手になんかされないよ」
「え~そんなもんなんですか?さみしいですね~」
「そう。さみしいもんだよ。娘も年頃になってからは、お金をせびる時以外はほとんど口もきいてもらえないし、こうやってりおちゃんと話すのだけが俺の楽しみなんだよ」
「ははは。私でよければいくらでもお相手しますよ」
「ほんと?じゃあデートしよ」
「それはだめです」
「ほらやっぱりだめなんじゃん」
「そりゃそうですよ。不倫になっちゃいますから
「なんだよ。世の中不倫、不倫って。浮気も男の甲斐性だってのによ」
「あー。そんなこと言ってたら叩かれちゃいますよ~」
「あ~あ。ほんと世知辛い世の中になっちゃたよな。仕方ないからりおちゃんと話すだけでよしとするか」
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