恋は僕にむかない

アルバイトの浩二君

「なに言ってるの。お姉さんをからかうなんて悪い冗談よ」

「いや、からかってなんかいません。本気です」

「そんなこと言ってないで。ほら、隣にいい子がいるじゃない」

「いや、こいつは関係ないですから」

男はいつもそうやって女の子の気持ちを軽く考え、知らないふりをしてやり過ごす。

「もうしょうがないなぁ君は。少しは女の子の気持ち考えてあげてよ」

そう言ってその場をはなれたものの、男の人の視線が気になって仕方がない。このままじゃほんとに誰かにもっていかれそう。

もうギリギリだと思った。そうしてトキさんメールを送ろうとした時、舞ちゃんからラインがきていることに気がついた。そこには話が違うじゃないですか。店長応援してくれるって言いましたよね。それなのに浩二君のことあんな物欲しそうな目で見たりしたら勘違いさせますよね。と怒りの言葉が綴られていた。

そんな目で見てしまっていたのかという思いと、あぁやっぱりという思いが相半ばする。

ラインに返信する余裕もなくトキさんに今日会いたいとメールを送った。