第6章「全ては浮かれていた俺の責任」

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 ――今まで浮かれていた。  ちょっかいを出すと、俺の顔を見て動揺する陽がかわいくて、俺を意識してくれているんだって思ってた。  だから、俺が離れないうちは陽は俺の傍からいなくならないって思い込んでいた。だけど、今その陽が俺の手から離れようとしている。  ――ふざけんなよ、誰が離れていいって言ったよ。なんのために今の今まで必死に気持ちを押し殺してきたと思ってんだよ。  『男同士が付き合うことに偏見ない』と伝えて、陽に、俺もアリかもって思ってほしかった。ただそれだけだった。なのに、なんで……  唇を噛みしめて、ただただ溢れ出す想いを心の中で募らせていると、「ふざけてないよ」と、いつものトーンより少し低いトーンで陽は答えた。 「あっそ。じゃあどうぞ、お幸せに」  一方的に電話を切った。  もういい。もう、勝手にしろ!  散々遊ばれて、泣かされて、ズタズタになって、それで俺に助けれを求めればいい。むしろ、そうしてほしいという想いの方が強い。  頼む、八尾。陽が嫌がることをおもいっきりしていい。コイツに現実を教えてほしい。その為なら手を貸すから……だから、俺に陽を返せよ。  ……なんてことを言ったら最低だと言われるだろう。本当に手放したくないと思えばこんなに残酷なことでも考えてしまうんだ。
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