第6章「全ては浮かれていた俺の責任」

6/11
前へ
/98ページ
次へ
 翌日から俺と陽の仲は変化した。  休み時間も移動教室も、昼休みもずっと一緒にいた。だけど、陽は昼休みは「大志と一緒にご飯食べるから」と言い、八尾の席へイスを持っていき「優冴も早く来いよ」と、俺を呼んだが行くわけない。  八尾と一緒に食べるくらいなら一人で良い。  静かに教室を出て、非常階段という誰も来ないであろう場所で昼食を取る。  スマホを手に取りSNSに目を向けると、一人で歩いている俺が拡散されていた。本文には『一人ショットの難波くん、激レア』と書かれてある。  もしかしたらここで昼食を食べていることも誰かに知られてしまうかもしれない。でも、もういい。周りにどう思われても良いから人目につかないところで一人になりたかった。  学校に行く前にコンビニで買ったおにぎりとお茶を片手に昼食を取る。陽が隣にいないお昼は初めてかもしれない。  一人静かにお昼を食べたかったのに、なんだか落ち着かない。理由は分かっている。隣に陽がいないからだ。  こんなのがあと一ヵ月続くのか……いや、もしかしたら、一ヵ月が過ぎても八尾がお昼を食べたいというのなら陽は食べるかもしれない。  俺は陽のなんだったのだろうと、答えが出ないままグルグルと自問自答を続ける。そんなことを考えている間にチャイムが鳴り教室へと戻った。  教室に戻ると「もう、どこ行ってたんだよ! 探したんだぞ!」と怒っている陽がいた。  せっかく八尾と一緒の昼休みだったのに、陽は俺を探してくれていたのか。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

256人が本棚に入れています
本棚に追加