第6章「全ては浮かれていた俺の責任」

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「陽が八尾と付き合うとか言い出すからだろ」  どうしようもない怒りをぶつけると、陽は一瞬怯んだ表情を見せた。 「誰と付き合おうが優冴には関係ないじゃん」 「ああそうだな。まあ、せいぜい八尾と頑張れよ」  これ以上話すと言わなくていいことまで言ってしまいそうで、耐え切れず教室から出る。  そして、体育館とは真逆の保健室がある方向へと歩く。  後ろでは、陽がまたしても『優冴!』と声を上げたが、これ以上一緒にいるのは耐えきれない。 「もう俺に話かけんな」  ――女子からモテすぎて男子から反感を買った俺を助けてくれたのは陽なのに。俺は恩を仇で返してしまっている。でも、陽が八尾と一緒にいたいんなら、陽のそばにいないことが今できる恩返しだとも思う。  綺麗ごとばかり並べて、結局俺は逃げているだけだ。でも、もうどうしたら良いか分からない。  この日から俺は陽と一緒にいることをやめた。いや、正確には陽からずっと避け続けた。避け続けて、避け続けて、そうやって一人でいることにさっさと慣れてしまいたい。  実際、中学になるまでは一人だったんだ。あの頃の、幼少期時代の俺に戻れば良い。ただそれだけだ。
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