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俺が陽を避け出して二週間が過ぎた頃だろうか。
靴箱で上履きに履き替えていると、「おい」と横から声を掛けられた。ちらっと視線を横にずらすと、視界に見えたのは八尾だった。よりによってコイツかよ。
「なに」
「おまえに話あんだけど」
「ああ、陽との惚気? キモイから聞きたくない」
「おま……ちっげーよ、クソ! いいから、どっか開いてるとこねぇのかよ」
ねぇのかよって、話したいのは八尾の方だろ。決めとけよ。それに八尾の場合は話し合いじゃなくて殴り合いだろうが。
ワザとらしくため息を吐きながら、殴り合いができそうなところを考えてみる。
確か学校から徒歩10分ほど歩いたところに草むらがあったはずだ。草むらだったらもし仮に殴られても、草がクッションになって痛さはやわらぐはず。
「じゃあ、八橋駅の近くの草むらに集合で」
殴られる前提で提案する俺に、八尾はハア? と、顔を歪めた。
「八橋駅の近くの草むら? 遠くね?」
「歩いて20分で着くだろ。チャリだったら3分、4分」
八尾は未だ不満がある顔をしていたが、しぶしぶといった感じで頷いた。
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