第6章「全ては浮かれていた俺の責任」

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「……分かった。じゃあ八橋駅の草むらで」  俺の背後にいた八尾は俺を抜かし、ダルそうに歩いて行った。  それにしても八尾のヤツ今更なんだ? なんか言いたいことあったら早い段階で言うだろ、普通。  今日1日八尾と陽をそれとなく目で追ってみた。仲悪そうにしているとか、そういうことではない。これといって変わったことはないと思う。  モヤモヤしながら1日を終え、今日は八尾以外のヤツとは会話をせずに、教室から出て、八橋駅へと向かう。  八橋駅に着き、30分が経った頃だろうか。  草むらに寝転がっている俺に八尾が、 「おい、難波」  と、頭上から声を掛けてきた。 「……ん」  軽く返事をして起き上がる。  ダラダラ会話をし続ける気なんてない。「で、なに?」と質問をしてみると、八尾は俺の前にしゃがんだ。  鞄の中から、テストの答案用紙であろう物を取り出し、俺に開いて見せた。  テストの点数は65点。恐らく追試の点数だろう。 「…………で?」  あえて点数には触れず、もう一度聞いてみる。 「追試、不合格だった」 「……へぇ、そりゃ残念だったな」
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