256人が本棚に入れています
本棚に追加
第7章「その余裕さに腹が立つ」
「再テストは今週なんだ。 頼む、勉強、手伝ってくれ!」
「ヤだ。だいたい、最初に断ったのはそっちだろ。絶対イヤだ」
「ああ? アレは難波がイヤそうな顔してたからだろうが! それに別件で難波を殴りたいほど腹立ってんだよ」
「殴られるのかなって思ってたから草むらにしたんだけど」
「殴るわけねぇだろ。あーもう!」
八尾は苛立った様子で自分の髪をワシャワシャと触った。
「つーか、陽を無視すんなよ。おまえのせいで陽がずっと暗いの知ってんだろ」
「……俺が陽を無視しようがどうしようが、俺の勝手でしょ」
「暗いんだよ、陽が! ずっとてめぇのこと考えてるから、付き合ってる気が全然しねぇし」
「じゃあ付き合ってるって思うようなことしたらいいだろ、恋人なんだし」
俺が八尾に突っかかっていることは分かっている。八尾がイライラしていることも分かっている。
けれど、八尾に突っかかることでしか、このイライラを発散できない。
「おまえ、そんなに陽が大事なら正面からぶつかってこいや」
「……は? 正面からぶつかる?」
八尾がなにを言っているのか分からなくて呆気にとられる。
最初のコメントを投稿しよう!