第7章「その余裕さに腹が立つ」

6/10
前へ
/98ページ
次へ
 自分が晒されるかもしれないということよりも、陽の心配をしている。  分かってる。八尾はそんなに悪いヤツではない。  性格も俺みたいにひん曲がってないし、ただ、陽を好きになっただけのパッと見不良ってだけだ。  八尾が必死にSNSで画像を追っている間に、そのSNSで投稿されてしまったのであろう、いつの間にか辺りは女子校生だらけになってしまった。 「難波くん怪我してないー?」 「そこの不良! 難波くんになにしてんのよ!」  一気に八尾が悪役になってしまった。  「何もないから騒がないで」と注意しようと思ったけど、八尾は女子達にニコッと微笑んだ。  そして、 「友情を確かめ合ってんだよ。あっち行け」  と、今までにないくらいの満面な笑みを女子に見せた。  そんな八尾の笑顔を見て周りにいる女子は目をハートにして「キャー!」と黄色い声をあげている。  ――コイツ、人たらしだな。  キャーキャー喚く女子達が気になって、このまま八尾と話をしている場合でもなくなったため、俺達は場所を移動をする。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

255人が本棚に入れています
本棚に追加