255人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の横を歩く八尾を見て口を開いた。
「おい、人たらし。勉強は見てやる。だけど俺は19時までバイトだ。未成年でも22時までカラオケ利用できるから、バイト終わってから勉強な」
「……ってことはカラオケでやんのかよ」
「ああ。他に場所もないし、バイトは休めないし。家にも上げたくないし。イヤならいいけど」
「いや、それでいい。おまえのカラオケ代も俺が出す!」
部屋代出してくれるんなら別にいいけど、陽に再テストだって言っていないんだろうか。
まあ、所詮俺は部外者だ。コイツらがどういう付き合い方をしようとコイツ等の勝手だ。
翌日から、バイトが終わってから、カラオケで八尾に勉強を見る日が始まった。
――俺の想像通り、八尾は暗記が得意ではないらしい。
けれど、努力の成果は伺える。ノートに何度も同じ単語を書いて必死に覚えようとしていた。
「ちっくしょ、なんでこんなに単語が多いんだよ。意味わかんねぇ」
最初のコメントを投稿しよう!