第7章「その余裕さに腹が立つ」

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 俺の横を歩く八尾を見て口を開いた。 「おい、人たらし。勉強は見てやる。だけど俺は19時までバイトだ。未成年でも22時までカラオケ利用できるから、バイト終わってから勉強な」 「……ってことはカラオケでやんのかよ」 「ああ。他に場所もないし、バイトは休めないし。家にも上げたくないし。イヤならいいけど」 「いや、それでいい。おまえのカラオケ代も俺が出す!」  部屋代出してくれるんなら別にいいけど、陽に再テストだって言っていないんだろうか。  まあ、所詮俺は部外者だ。コイツらがどういう付き合い方をしようとコイツ等の勝手だ。  翌日から、バイトが終わってから、カラオケで八尾に勉強を見る日が始まった。  ――俺の想像通り、八尾は暗記が得意ではないらしい。  けれど、努力の成果は伺える。ノートに何度も同じ単語を書いて必死に覚えようとしていた。 「ちっくしょ、なんでこんなに単語が多いんだよ。意味わかんねぇ」
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