第7章「その余裕さに腹が立つ」

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「八尾、がむしゃらに覚えるんじゃなくて図の意味をちゃんと考えた方が良い」 「はあ? 図!? いや、図見て必死に覚えようとしてっけど」 「この細胞分裂の図もさ、どんな動きをしながら進んでいくのかって考えたらすんなり覚えられたりするんだよ」 「はあ?」 「だから、細胞分裂の各期で何が起こっているのか分かりやすくなる。そもそも細胞分裂っていうのは、1個の細胞が2つの細胞に分かれることを言うだろ。だから、これはこういう流れで……」 「……へぇ」 「うん、だから、染色体も分裂すんだよ。染色体の中にはDNAも存在していて、生命の設計図って呼ばれる物質なわけ」 「はー」  ぶつくさ文句を言っていた先ほどとは違って、すんなり俺の話を聞く八尾。  そして、「あー、なるほど。なんか分かった気するわ」と大きく頷いていた。どうやら、暗記の流れはなんとなく分かったらしい。
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