第7章「その余裕さに腹が立つ」

9/10
前へ
/98ページ
次へ
「いや、でもむずくね? 単語がムズイんだよ」 「そこは頑張って覚えるしかないだろ。なにも全部完璧に覚えなくてもいいんだよ。部分部分だけ覚えれば結構思い出せる」 「部分部分? 難波はどうやって覚えてんだよ」 「えーっと、俺の場合は結構ゴロで覚えてて……で、こんな感じ。あと、歌で覚えるとか」 「はあ? 歌?」 「だから、この場合はこの流れを替え歌で覚える。ちょうどカラオケあるし、好きな曲入れてのっけて歌ってみろよ」  俺の無茶苦茶な提案に頭を捻らせ頷いた。 「俺、歌美味いからビビんなよ」  よほど俺に歌唱力自慢をしたいのか、腕捲りをし、好きな曲をデンモクで入れて歌い出した。  確かに上手い。  けれど歌詞が歌詞だ。八尾の声の上手さより歌詞が気になってどうしようもない。八尾が気持ちよさそうに歌っている中、申し訳ないが何度も笑いを吹き出した。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

256人が本棚に入れています
本棚に追加