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――優冴? 今優冴って言った?
ドアを少し開け、会話を盗み聞きする。
「陽、どうですか?」
「うーん、まだ具合が悪いのなんのって部屋から出ようとしなくてねぇ」
本当に優冴が来てるんだ。ずっと俺を避けてたのに……心配してくれているんだ。
嬉しくて心がギュウッと張り裂けそうになった。でも、まだ会えない。いくら心配してくれていたとしても、優冴は俺に遠慮して大志と仲良くなれなかったんだ……
この間見たカラオケの光景を思い浮かべながらドアを閉め、また布団に潜った。
優冴が早く去ってくれることを願いながら息を潜めていると、トントンと階段を駆け上がる足音が聞こえてきた。
そして、ドアの部屋の前で「陽、開けるぞ」と優冴の声が聞こえてきた。
完全に逃げるタイミングを失った。部屋から出てトイレに籠ることもできたのに。
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