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返事をせずにいると、俺の部屋のドアがギギッと鈍い音を立てて開いた。
「陽?」
部屋の中に入ってきた優冴には、今俺が布団の中にいることは分かりきっていることだろう。
これ以上誤魔化すのは無駄だ。この際、俺の本音を全てぶつけてやろう。
布団から顔を出し優冴を見る。すると、優冴は安心した表情をしていた。
「陽、今まで避けてごめん」
深々と俺に頭を下げて謝る優冴。つられてゆっくりと起き上がった。
「いや……」
「体調悪いの? スマホも電源切ってるし」
「……体調っていうか、ただ行く気分になれないだけ」
「なんで?」
「なんでって……本当は大志と仲よくしたいって思ってたんだろ。オレに何も言わずカラオケでこそこそと仲深めて……いや、何も言わないのは優冴と大志の勝手だけど……ずっとオレのことが邪魔だったんだろ」
ああ、情けない。本当に情けない。
本当はこんなこと言いたくなかった。でも、ずっとモヤモヤするのはもうイヤなんだ。
あまりの情けなさに優冴の顔が見れず俯く。すると、優冴は「ぜんっぜん仲良くないし、仲良くしたいとも思ってない」と否定した。
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