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「――え?」
顔を上げ優冴を見ると、何故か俺にフッと微笑んだ。
え、な、なんだ? 何で笑ってんだ?
「陽、アイツが赤点だって知らなかったろ」
「え? アイツって?」
「八尾だよ。アイツ、追試ダメで、それを陽に言い出せなかったって。で、俺に頭下げて勉強教えてほしいってお願いしてきた」
「…………そ、そうなんだ」
「陽のためならバイト休めるけど、八尾の為には休みたくないし。バイト終わりにカラオケで勉強見てやってたけど、俺の分の料金もアイツ持ちだし」
「…………で、でも。凄い楽しそうだったし」
「歌の歌詞を生物用語に帰られたら誰だって大笑いするって。だから、八尾と特別仲深めたいとかないから」
「で、でも……」
「まあ、陽は愛しの八尾を俺に取られるかもって心配してたんだもんな、引きこもるのは無理もないか」
優冴は、俺が引きこもった理由を勘違いしている。
――違う、そうじゃない。
布団から出て、ベッドへと座り直す。
「違う、俺は二人の邪魔をしてるんだと思って、それで……」
それで俺は二人の邪魔をしたくないって思ったんだ。
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