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「さあさあ、まだお産は終わってないんだ。ちょいと外へ出ていてもらおうか」
ライードとジーマに促され、皆は別室へ移動した。
「良かったな、泰然」
「ありがとう、春蕾。そなたたちのおかげだ。礼を言う」
「男子だったなあ。翠蘭は正妃になるのか?」
「ああ、そうだ。正妃として宮城に住むことになる。ずっと一緒にいられるのが嬉しい」
「お前、にやけてるぞ」
春蕾が泰然を肘でつついた。
「母上も一緒に戻って来てもらうつもりだ。母上の部屋もそのままにしてあるからな」
「それがいい。麗霞様も孫と一緒で嬉しいだろう」
泰然は嬉しそうに笑顔で頷いた。
「名前は決めてあるのか?」
「翠蘭と二人で決めていた。男子なら飛龍、女子なら美帆とな。だから、飛龍だ」
「飛ぶ龍、か。いい名前だな」
「いつでも会いに来てくれ、伯父上」
「あっ、ほんとだ。俺って伯父になるのか、飛龍の」
「早くいとこを作ってくれよ」
「わかってるよ」
今度は春蕾がにやける番だった。翠蘭の子供が無事生まれたら、ジーマと結婚することになっているからだ。
(だいぶ待たせてしまったけれど……ジーマを誰よりも幸せにするつもりだ。俺はもう、ジーマからたくさんの幸せをもらっているから、次は俺の番。一生、大切にする)
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