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半年が経ち、そろそろ暖かくなって移動も楽だろうと、翠蘭と飛龍、麗霞は宮城へと移ることになった。
「正妃用の宮は少し広げたぞ。母の部屋とも行き来しやすいようにした。それから、四ノ宮の下女や女官も希望者は雇い入れた」
「まあ、泰然! ありがとう! 氷水さんや静麗、美玉はどうしました?」
「三人とも喜んで宮城に来たぞ。早く飛龍が見たいそうだ」
「良かった! またみんなと楽しくお話しできそうだわ」
ふえーん、と飛龍がぐずる。
「あら、眠たくなっちゃったの? 飛龍」
「貸してみろ。私が寝かしつけてやる」
「ふふ、できるかしら」
泰然の大きな腕の中は居心地が良かったのか、飛龍はしばらくぐずった後スヤスヤと寝始めた。
「ほら、上手だろう?」
そう言って得意げな顔をして布団に寝かせようとする泰然。だが、置いた途端に再びわーん、と泣き始めた。
「ああ、もう一度か」
慌てる泰然を翠蘭がクスクスと笑う。
「頑張ってください、お父様」
幸せな、若い家族の姿、泰然の理想とするカタチがそこにあった。
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