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そして翠蘭は正妃として宮城へ入り、その半年後に正式に婚姻の儀を交わした。
国民は王の正妃が西国の容姿をしていることに驚き、しかも元アンダール王族の血を引く女性だと聞いて大いに喜んだ。
反乱を起こしていた西の民も、アンダール王家の紋章が刻まれた髪飾りをつけた、自分たちの姫ともいえる女性が正妃になったことでようやく国の融合を認めるようになった。もちろん、泰然の優れた政治あってこそである。
翠蘭はその後二人の王子を産んだ。花霞や夏雲とも友情を築き、泰然を支えて長い平和の世を生きていったという。
これは遠い遠い昔のこと。今はもうない梨鷹国、遥かな伝説の国のお話である。
(完)
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