男女の朝

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 両者共に“遊んでそう(・・・・・・)”。そんな見た目への偏見が、今後の関係を拗らせる要因となる。  男、神楽 政宗。趣味筋トレと読書(漫画)…ガチムチばかりをかき集めたゴールデンジムへ通い、昔から漫画は少年誌。偶に出てくるボインな誘惑系ヒロインに興奮する事は無し。  強さこそが男の正義。守るものがあるとすれば、それは己と会社の名誉。ハニートラップなどに引っ掛かってならぬものかと、異性は初めからシャットアウト。  意識が高過ぎるこの男は、邪魔者を許さない。  女、白金 雪乃。趣味と言うか、ストレス発散は睡眠と買い物なお嬢様。自分よりも金を稼いでる男を見てみたいと、凛とした強気な姿で害虫を寄せ付けない姿勢は高嶺の花。  社長令嬢ならぬ会長令嬢として無駄にプライドが高く、負けず嫌い。そして自分より美しくないものは大嫌いだ。  自尊心が高過ぎるこの女もまた…邪魔者を許さない。  だがしかし、そんな両者は結婚してしまった。  心に決めた相手は居ないが、心に決めていた事ならある。  例え愛の無い結婚だろうと…絶対にバツは付けたくない!  だって会社のイメージが悪くなるから。全ては生い立ちに在り。    両者顔だけは見栄えだけは良き男女。容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群…卓越した存在として君臨するその二名。  今回の結婚で得た莫大な利益見込みは、年間で数百億円はくだらない。 …お互い両親からの熱い期待を背に、自らの運命を受け入れた。 「どうしたら早起き出来るのかしら。」 「突然どうされたんですか、雪乃様。」  新妻は悩む。一度の失敗如きで悄げるそこら辺の女ではない雪乃。   「…あの男をぎゃふんと言わせたいのよ。」  野望を胸に、めらめらと闘志を宿した瞳はやる気に満ち溢れていた。
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