35人が本棚に入れています
本棚に追加
両者共に“遊んでそう”。そんな見た目への偏見が、今後の関係を拗らせる要因となる。
男、神楽 政宗。趣味筋トレと読書(漫画)…ガチムチばかりをかき集めたゴールデンジムへ通い、昔から漫画は少年誌。偶に出てくるボインな誘惑系ヒロインに興奮する事は無し。
強さこそが男の正義。守るものがあるとすれば、それは己と会社の名誉。ハニートラップなどに引っ掛かってならぬものかと、異性は初めからシャットアウト。
意識が高過ぎるこの男は、邪魔者を許さない。
女、白金 雪乃。趣味と言うか、ストレス発散は睡眠と買い物なお嬢様。自分よりも金を稼いでる男を見てみたいと、凛とした強気な姿で害虫を寄せ付けない姿勢は高嶺の花。
社長令嬢ならぬ会長令嬢として無駄にプライドが高く、負けず嫌い。そして自分より美しくないものは大嫌いだ。
自尊心が高過ぎるこの女もまた…邪魔者を許さない。
だがしかし、そんな両者は結婚してしまった。
心に決めた相手は居ないが、心に決めていた事ならある。
例え愛の無い結婚だろうと…絶対にバツは付けたくない!
だって会社のイメージが悪くなるから。全ては生い立ちに在り。
両者顔だけは見栄えだけは良き男女。容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群…卓越した存在として君臨するその二名。
今回の結婚で得た莫大な利益見込みは、年間で数百億円はくだらない。
…お互い両親からの熱い期待を背に、自らの運命を受け入れた。
「どうしたら早起き出来るのかしら。」
「突然どうされたんですか、雪乃様。」
新妻は悩む。一度の失敗如きで悄げるそこら辺の女ではない雪乃。
「…あの男をぎゃふんと言わせたいのよ。」
野望を胸に、めらめらと闘志を宿した瞳はやる気に満ち溢れていた。
最初のコメントを投稿しよう!