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神楽組とプラチナカンパニーは、両者業界内の最大手として君臨する大企業だ。
世の中の仕組みとしては両社は古くから関わりが有ったものの、この度踏み切った縁談話を持ち掛けあった。
同じ二十五年前に誕生した男女の子供。それぞれが自社の広告塔として活躍する最中、それでは二人の結納を機に業務提携を致しましょう。
安直な考えに聞こえてしまうが、両社本気で御座います。
大企業の御曹司、御嬢様として育てられた二人は、それぞれ自分の役割を理解していた。
いつかはどこぞの誰かとの政略結婚が待っている。
今の時代に自由恋愛を許されず、他人に敷かれたレールを歩まされる事は、彼等にとっては普通の事だった。
そして両者、二十五年間全く恋愛せずに過ごし、遂にこの時が来たか!と己の運命を受け入れ挑んだお見合い。
政財界御用達の日本料亭で執り行われた最大手ゼネコン会社と、最大手不動産会社の子息令嬢の顔見せ。
鹿威しが一定のリズムで水を溢す音をBGMに、一張羅の振袖で粧し込んだ究極の美女。
普段よりも念入りに塗り固められた肌は粉っぽく、真っ赤で艶やかな唇。嫌々ながらも伏し目で対峙する。
「それではお若い者同士で…」
そんな台詞は、生まれて初めてだ。きっと凡人は一生聞くこともないだろう。
両家の両親がそそくさと退散すると、二人は初めて目を合わせた。
「「(…チッこんな女(男)かよ。)」」
第一印象は予想外。美男美女だが恋愛経験皆無。
運命に抗うこともなく、真っ当に過ごしてきた両者の目には、偏見が蔓延っていた。
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