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不運すぎるだろ。つばめは要になんて言葉をかければいいか分からなかった。
「これからのこと、ちゃんと考えなきゃいけないのに考えれなくて。見たもの、信じられなくって。頼れるのはあーちゃんだけなのに、あーちゃんに捨てられたら僕は」
「…じゃあ、うち来れば」
気が付いたらつばめは要の腕を引っ張り上げていた。頭を抱えて悩む要を暗闇の中から見つけ出したかのように。要はきょとんとしている。髪の毛が少し長めで栗色の癖っ毛で目が小動物のように黒目が大きいから女と言われたら素直に信じてしまいそうなのに老舗レストランで働いていたのもあってか、腕は白いのにつばめよりも太く男らしかった。
「いや、さすがにそこまでは!一応、一泊できるくらいの金だけはあるんです。泊まれる場所を探したくてスマホをお借りしたいだけで、そんなよくも知らない僕を家に上げるなんて」
あたふたしだす要。たしかに要のいうことはもっともだ。元いた職場と名前しか知らないのに家に上げるなんて不用心にも程がある。けどつばめは疲れていた。そしてすごく、すっごく腹が減っていた。
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