え?

12/15

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
「ちなみに西野院さんの分も作って一緒に食べよう。夜、食べてないだろ?」 「あ、はい。何なら朝から食べてない状態で。食事まで恵んでくれるとかめっちゃ良い人ですね…」 この程度で感極まれてもな…。つばめが苦笑すると要は「絶対、満足する料理作ります」と敬礼した。そして…、 「あの、あなたのお名前は?」 そういえば名乗っていなかったか。つばめは改めて竹岡つばめと名乗り、一応名刺を渡す。要はその名刺を恭しく受け取った。 「竹岡さん、ではすぐに手を洗って作らせていただきます!」 「ああ、よろしく。調理器具はそこの下の棚に…新品のまま突っ込んであるから好きに使っていいからさ」 友人の結婚式の引き出物になぜか調理器具を一式貰ったのだ。「おまえも良い人ができて、その人にこの調理器具で好きな物を作ってもらえ」と肩を叩かれたのを覚えている。その友人はつばめの失恋を知っていたのだ。つばめ自身は全く傷ついていないが、友人はすごく気を遣ってくれていた。せっかくの贈り物を初対面のしかも男に使ってもらうなんて知られたらどんな反応するだろうな。そう考えるとおかしかった。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加