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「あの、竹岡さん」
「ん?」
「僕のことは要でいいです。西野院っていう名字長すぎるし、言いにくいでしょ?」
「分かった。じゃあ、俺のこともつばめでいいよ。あと敬語もいらない」
確かに西野院さんと呼ぼうとして噛みかけたのでありがたい。つばめが頷くと要はふわりと笑った。
「分かりました…じゃなくて、うん。分かった、つばめ」
そして今度こそ要は水を飲むしか使われていないような調理台へと向かった。
要に聞くと30分もあればできると言うのでつばめは風呂に行き、髪の毛を乾かしていたら「できたよ…つばめ」と要が呼びに来た。
「匂いから美味そうなんだけど」
味噌汁の良い匂いなんて実家にいた時くらいだ。味噌汁は好きだが作れなくてここしばらく飲んでいなかった。インスタントもあるがなんか知ってる味と違う気がする。けど要が作ってくれた味噌汁はまさに要が飲みたいと思っていた味噌汁そのものだった。
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