要の恋人

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「料理の仕事に就きなよ」 そう言ってしまうくらい工場に行こうとすることに嫌悪を抱いてしまう。要は苦笑しつつも少し強く「さっきも言ったけど」と前置きしてから料理の仕事はパートでしか募集されていない、それでは生活なんてとてもできないと もう一度ゆっくり言った。 「だったらここに住めばいい」 「は?」 苛立ちを堪えながら言われたからちょっとつばめも反抗的に返してしまったところはある。けど言ってしまって後悔はちっともなかった。むしろいい提案な気がする。 「タダでは住ませないよ。この家の料理や掃除さえしてくれれば家賃も生活費も全部俺が持つ。そうすれば貯金もできるでしょ?」 「…それ、僕にとっては美味しすぎる話だけどつばめのメリットなくない?」 眉を寄せて不審がる要。まあ無理はない。つばめだって逆の立場だったらそんな話、要以上に警戒する。
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