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座席は固いはずなのに、自分の体が極上のソファーに座った時のような沈んでいく感じに危険信号が鳴り、慌てて立つ。俺のマンションは終点の駅から一駅前の所にある。このまま沈むように寝てしまったら確実に終点に行ってしまう。財布に金はあるし、タクシーで最悪帰れるが、運が悪いとタクシーを見つけれても乗客が乗ってるタクシーばかりで捕まえるのに苦労することになる。無駄な労力を使いたくない。
「てか、今日は一段と疲れたな…」
急に仕上げなきゃいけない書類がこっちに回されたし、後輩の仕事のミスの後始末もしてたら、自分の仕事なんてできなくて、気が付いたらこんな時間まで働いていて。ああ…。
「こんな30歳になる予定じゃなかったんだけどな」
正確にはまだ29歳。でもあと一週間で俺は30歳になる。俺の子供の頃に見えていた30歳はもっと大人だった。仕事もバリバリして、結婚して父親になって週末は家族で出かける。心にも余裕があってまさに大人!って感じだったのにつばめはその思い描いていた30歳にはなれていない。
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