要の恋人

7/51
前へ
/78ページ
次へ
「パートだったら時間の都合もつくし、掛け持ちもできる所も多いんだ。頑張り次第で社員に昇格もあるんだ。そうしたらートそうしたら僕は料理を諦めなくて済む!」 目を輝かせて拳を作る要を見て、やっぱり料理への想いを捨てきれていないことが分かって、ホッとして自然と強張っていた肩の力がほどけ、つばめは少し笑った。 「まあ、焦らず頑張りなよ。焦るとろくなことないし」 「ありがと。でも無職はやっぱり恥ずかしいからなるべく早く職に就けるように頑張りたいな」 それから2人で朝食を食べた。温かい朝食を食べたのも久しぶりだ。昨夜の味噌汁も染みたがやっぱり味噌汁は朝が似合う。思わず息が零れたほどだ。そしてこの温かいこの食事が今日で終わりじゃないのが嬉しい。また心に温かいものが広がる。朝を幸せな気持ちで過ごせたのは本当に久しぶりだった。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加